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BLUE JAY WAY
マジカル・ミステリー・ツアーブルー・ジェイ・ウェイ
<Harrison>

ジョージのサイケデリック時代の楽曲と言えばシタールなどのインド音楽が前面に出された曲が多いが、この曲はハモンド・オルガンが主体。しかし、楽曲が醸し出す独特の空気というか浮遊感みたいなものは、やはり東洋の影響を少なからず感じさせる。

シタールなどの東洋の楽器独特の単音をずーっと引き伸ばすことで得られるドローン効果はオルガンで代用され、セッション・ミュージシャンを起用してレコーディングされたチェロはドローン効果の水面に現れる「波」のように音のうねりを効果的に作りだしている。

ジョージによれば、この曲は196781日に彼がロスアンジェルスに滞在中、友人のデレク・テイラーを待っている時の気持ちを歌にしたものだという。その時滞在していた借家があったのが“Blue Jay Way”(ブルー・ジェイ通り)だったことからこのタイトルが付けられた。

George:「デレクは遅れていた。電話してきて遅くなるって言うので、僕が家はブルー・ジェイ通りだと言うと、彼は大丈夫、見つけられるよ、いつでもおまわりに聞けるから、と答えた。僕はずぅっと待っていた。時差ボケで本当にぐったりしていたけど、彼が来るまで寝る気にはなれなかったんだ。霧が出ていて夜も更けていった。目を覚ましておくために、ちょっとした時間つぶしのジョークのつもりでこの時の出来事を歌にしたんだ」

なお、この曲で何度も連呼されている“Please don't be long(遅くならないでね)”という表現は、考え方によっては“Please don't belong(どこにも属さないでね)”という表現にも捉えることができる。こう考えれば、どこにも属さず、自由奔放な生活をしていたヒッピーたちへ向けられたメッセージとも考えられる。
| Magical Mystery Tour | 01:52 | comments(7) | trackbacks(140)
BLACKBIRD
ザ・ビートルズブラックバード
<Lennon-McCartney>

いかにもポールらしいアコースティックな佳曲。
この曲をギターで弾けたときはホンマに嬉しかったのを覚えている。アルペジオにしたってポールの手癖というか、独特のフィンガーピッキングが難しく、慣れるまでにかなり時間が掛かったもんなぁ。

ポール自身によればこの曲は1968年半ばにアメリカで起きた人種差別に反対する暴動を報じた新聞記事を読んでインスピレーションを受け、黒人公民権闘争を暗喩する形で書かれたものだという。黒人を“Blackbird”(黒い鳥とはヨーロッパに生息するツグミのこと)に例えて、「君は自由になれる時を待っているんだ」、「羽ばたけブラックバードよ、真っ暗闇に差し込む光へ向かって」と歌われている。

しかし、この美しい曲を歪んだ経典として捉えた人物もいた。若者を率いて連続殺人事件を引き起こしたチャールズ・マンソンだ。

Blackbird singing in the dead of night
Take these broken wings and learn to fly
All your life you're only waiting the moment to arise


マンソンの解釈によればこの歌詞はビートルズが黒人に対して「黒人達よ立ち上がれ、時は来た」と告げており、白人達を皆殺しにして黒人が権力を握る時が来たことを暗示しているというのだ。マンソンが“Helter Skelter”と呼んでいたのはこの白人と黒人間のアルマゲドン(最終戦争)のことなのだ。

また、マンソンに命じられ殺人を犯した信者が犯行現場に被害者の血で壁に書いた言葉の1つにこの曲でも形は違うが使われている“rise”があった。実際、マンソンは信者に対して黒人達が立ち上がるという行為を“arise”ではなく“rise”を用いて表現していた。マンソンはこの“rise”という表現を多用していて、重要なキーワードだったと元信者は語っている。
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| The Beatels (White Album) | 01:19 | comments(1) | trackbacks(1)
BIRTHDAY
ザ・ビートルズバースデイ
<Lennon-McCartney>

アルバム【The Beatles】の2枚目の冒頭を飾るポールが書いたロックンロールナンバー。印象的なギター・リフが主体の曲なんだけど、僕が持っている資料ではこのリード・ギターを弾いているのはなんとジョンらしい。ジョージはベース、ポールはピアノを弾いていたそうな。まぁ、これには諸説あるんだけどね。コーラスにはヨーコやパティなどビートルズの妻たちも参加している。

シンプルなんだけどポールお得意の転調も何度かあるし、単なるロックンロールで終わらずにポールらしいひねりが加えられているのはさすが。個人的にはかなり好きな曲かも。ノリノリで誕生日を祝えるということもあって、ビートルズ関連のライヴハウスでも客の誕生日などにはよく演奏されているみたいだし。

ジョン曰く「クズみたいな曲」らしいけど(笑)。

ポールもお気に入りの曲らしく、1989年〜90年のワールドツアーでは再演されていて、その音源を集めたライヴアルバム【Tripping the Live Fantastic】にも収録されている。1990109日のジョンの誕生日に同年630日のネブワース公演で演奏された“Birthday”がシングルカットされるなーんて粋なこともしてくれちゃってるし、そのライヴ盤からビートルズナンバーを中心に選曲した【Tripping the Live Fantastic: Highlights】にも収録されている。
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| The Beatels (White Album) | 03:00 | comments(0) | trackbacks(0)
BEING FOR THE BENEFIT OF MR. KITE!
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト
<Lennon-McCartney>

ロックの歴史に残る名盤【Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band】は元々「少年時代」というのがテーマだったと言われている。この主題は彼らが少年時代を歌った“Strawberry Fields Forever / Penny Lane”のシングルがリリースされた後にポールによって「ペパー軍曹」へと変更されているが、このアルバムのためにジョンが書いた曲はどれも「少年時代」というのがベースになっていて幼児的視点から描かれているものが多い。

幼児的好奇心に満ちたジョンが古いサーカスのポスターにインスピレーションを得て書いたのがこの曲。歌詞はそこに書かれてあったことに基づいて書かれている。サーカスの雰囲気を出すためにスチームオルガンを録音したテープを短くカットし、宙に放り投げてバラバラにし、それを再びつなげてループテープを作り出すなど、この曲でも音楽的な「視覚」効果を重要視している。まるで目の前でサーカスが実際に行われているかのような幻想的な雰囲気が良く伝わってくる。

サーカスと言えば、忘れてならないのが「道化師」の存在である。ジョンは以前、“I'm A Loser”で自分を「負け犬」と呼称した際、「道化師」の仮面を被っている自分のことも説明してくれていた。

あの時、ジョンは本心を偽るために「道化師」の仮面を被っている自分を描写したのだが、ここでサーカスという主題を選んだという共通性は非常に興味深い。歌詞の中に「道化師」という言葉があるわけでもないので、これはあくまでも推測に過ぎないのだが、ライヴ活動という一種の見世物興行から解き放たれたジョンはようやくライヴをサーカスと捉えることに成功し、そしてその中にいた「道化師」としての自分を見つめなおしていたのではないだろうか。

そんな深読みすらしたくなるほど、不思議な曲だ。
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| Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band | 23:58 | comments(0) | trackbacks(0)
BECAUSE
アビイ・ロードビコーズ
<Lennon-McCartney>

【Abbey Road】収録の美しい旋律とコーラスに彩られた“Because”がジョンのビートルズ時代最後のレコーディング曲となる。「なぜなら」という一言に集約されたその世界は広く、そして多義的。これはまさに俳句の世界であり、ヨーコがジョンの表現方法にもたらした新たなアプローチだ。

重苦しいイントロを抜けると澄み切った広大な空を彷彿とさせるジョン、ポール、ジョージによる三部コーラスが響き渡る。第一ヴァースの「Because the world is round, it turns me on(世界が回っているから、僕は陶酔させられる)」という歌詞は幻想の世界に生きていたジョンの姿を映し出し、第二ヴァースの「Because the wind is high, it blows my mind(風が強いから、僕を惑わす)」という歌詞で風の強さによって、心が吹き飛ばされてしまうという状況が歌われている。

そんな幻想の世界に射した一筋の光が「Love is old, love is new. Love is all, love is you(愛は古く、そして新しい。愛は全てであり、愛は君だ)」という悟りであり、「君」という存在はもちろんヨーコに置き換えられる。

以前“Dear Prudence”においてプルーデンスという他人を通して自己に投げかけられた「心の目を開き、空の青さを見てごらん」というメッセージは次の第三ヴァースで歌われる「Because the sky is blue, it makes me cry(空が青いから、僕は泣きたくなる)」という歌詞へとつながっている。泣きたくなる程に澄み切った青い空はビートルズ初期に“Ask Me Why”で歌われた「泣きたくなるほどに幸せだ」という表現と興味深い一致を成す。

つまり、空は“Yer Blues”で歌われたように空のように大きな心を持った「母」を指し示す言葉であり、「青い空」が「幸福」を意味しているのであれば、この涙は母の愛と再開できた嬉しさからもたらされたものだと考えられるのである。そして母の面影を持った空が青いということから、その空には大きな「Sun(愛)」が輝いていることが分かる。

こうして日本的な「わびさび」の世界に彩られた“Because”はジョンが幻想の世界から脱出し、ヨーコに母の愛を見つけるまでの軌跡を記す詩となり、【John Lennon】に収録された“Love”への序章となる。
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| Abbey Road | 01:14 | comments(0) | trackbacks(0)
THE BALLAD OF JOHN AND YOKO
パスト・マスターズ(2)ジョンとヨーコのバラード
<Lennon-McCartney>

オリジナルはシングルのみでリリースされたため、現在は【Past Masters Vol.2】に収録されている。ジョンの手による旅のエッセイのようなこの曲はジョンとポールのみでレコーディングされた曲で、ジョージとリンゴは不参加。コード進行も単純でポールのコーラスもかなり投げやりな印象が強い。

曲の内容もジョンとヨーコの波瀾に満ちた結婚式からハネムーンの模様を綴ったものであり、ビートルズとは全く関係がない。そこで浮上がしてくるのが、ジョンがなぜこの曲をビートルズ名義で発表しなければならなかったのかという疑問だ。

これを解く鍵は当時のジョンとヨーコの置かれていた状況そのものにある。頭からすっぽりと袋をかぶって「バギズム」を唱えたり、ベッドの上で一週間過ごし、平和を訴える「ベッド・イン」を行うなどの奇怪な二人の平和活動は、当時の社会から失笑の的になっており、二人は理解されないことに苛立っていた。しかし、平和活動は広めなければ意味が無い。そこでジョンは世界的に有名なビートルズ名義で曲を発表し、より効果的なプロパガンダとしてビートルズを用いたのではないだろうか。

また、ポールがなぜこの曲のレコーディングに協力したのだろうか。僕はこのことが以前から不思議で仕方がなかった。ジョンとヨーコの曲になんでポールが?これは当時のポールが置かれていた他のメンバーとの不和が大きく影響している...と思うんだけど(笑)。この時期のポールは他の3人から孤立してしまうことが多かったから、この曲のレコーディングに自ら参加してジョンに「貸し」を作ろうとしたんじゃないか、と。まぁ、ワイドショー的なものの見方かもしらんけどね。

それに、神であるイエス・キリストと自分を同格化させた「Christ, you know it ain't easy / You know how hard it can be / The way things are going / they're going to crucify me(キリストさんよ、簡単じゃないよな。どんなに辛いかあんたも分かるだろ。狂った世の中の連中が僕を苦しめるんだ)」という歌詞の影響も考慮に入れるべきだろう。

かつて「キリスト発言」で特にアメリカから猛反発を食らったジョンだったけど、ビートルズ、そしてレノン=マッカートニーという二人名義のクレジットは世間からの反発に対するショック・アブソーバー的な役割を果たすのだ。つまり、この時のジョンはヨーコを心の支えにしながらも、まだ社会からの攻撃を恐れていたのである。ヨーコの思想が色濃く反映された前衛的な平和活動に対する世間の風当たりの厳しさに戸惑い、無理解な社会と多くの人々に対して苛立ち、キリストに愚痴をこぼす平和活動初心者のジョンの姿がこの曲に表れている。
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| Past Masters Vol.2 | 23:58 | comments(0) | trackbacks(0)
BAD BOY
パスト・マスターズ(1)バッド・ボーイ
<Williams>

ラリー・ウィリアムズがオリジナルの“Bad Boy”は、本国イギリスでは1966年の【A Collection Of Beatles Oldies】で初めてリリースされたんだけど、アメリカではそれより2年近く前の1965年初旬に発売された【Beatles VI】に収録された。つまり、アメリカ市場向けの曲ってことね。ここらへんが「キャピトル強し!」って感じ。現在は【Past Masters Vol.1】に収録されている。

ラリー・ウィリアムズと言えば、ジョンのお気に入り。彼がカヴァーしたウィリアムズの曲と言えば“Slow Down”、“Dizzy Miss Lizzy”とこの曲。全てアップテンポでシャウトしまくるロックンロールナンバーなんだけど、彼のヴァージョンと聴き比べてみれば、恐らくほとんどの方がビートルズヴァージョンに軍配を挙げると思う。それくらい、ビートルズの演奏はカッコいい。正直、ウィリアムズのヴァージョンを初めて聴いた時はズッコケたもんな。

Behave Yourself!(行儀良くしなさい!)”なんて表現はこの曲で覚えてしまったし、個人的には結構好きな曲なんだけど、ビートルズの歴史の中ではどうしても軽視されがち。まぁ、当時の扱いが扱いだけに、マイナーなイメージが中々払拭できないんやろうな。でも、ジョンのしゃがれ声全開のシャウトにメロメロな人にとっては大切な曲。

この曲がレコーディングされた日は“Dizzy Miss Lizzy”と同じ1965510日。だからこの2曲の印象って似ているんですな。
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| Past Masters Vol.1 | 02:14 | comments(2) | trackbacks(2)
BACK IN THE U.S.S.R.
ザ・ビートルズバック・イン・ザ・USSR
<Lennon-McCartney>

時代がカラフルなサイケデリック文化をくぐり抜けた直後だっただけに、アルバムジャケットがカラフルとは対極に位置するモノトーン、しかも「白」一色で彩られた【The Beatles】は当時の人々に驚きと新鮮さを与えたに違いない。しかも、ロックアルバムとしては異例の2枚組。そのボリューム満点のアルバムのオープニングをジェット機のSEと共に飾るのがこの曲。

どちらかと言えばポールはバラード主体のメロディメイカーというイメージが先行しがちなんだけど、彼が生粋のロックンローラーであることを再認識させてくれる曲。

タイトルや歌詞のネタ元になったのはチャックベリーの“Back In The U.S.A”という曲。それにビーチ・ボーイズ風のコーラスアレンジを加えて、主題をアメリカではなく当時のソビエト連邦(the Union of Soviet Socialist Republics)に変えてビートルズ風に仕上げている。

しかし、この曲のレコーディングにはリンゴは参加していない。当時、バンド内で極度の疎外感を感じ、一時グループを離脱していたリンゴの代わりにドラムを叩いているのは他でもないポール自身。ソロになってから本格的に開花する彼のマルチプレイヤーぶりが如何なく発揮されているけれども、やっぱしリンゴのドラムじゃないのが大変遺憾に感じる(笑)。
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| The Beatels (White Album) | 23:48 | comments(0) | trackbacks(0)
BABY'S IN BLACK
ビートルズ・フォー・セールベイビーズ・イン・ブラック
<Lennon-McCartney>

「何てこったい、どうすりゃいいのさ」という歌い出しで始まるロックワルツ。個人的には結構好きだなぁ、これ。

自分の恋敵が亡くなって、これで自分と彼女との間の障害は取り除かれたのに、その恋敵のために悲しい面持ちで喪服を着る彼女の姿を見て、やり切れない思いを抱えるという状況が歌われている曲。彼女の心の中は恋敵の存在で満ちているため、自分が入り込む隙間すらないということへの苛立ちと悲しみが曲全体を覆っている。

ビートルズのラヴソングに初めて登場した「葬式」という状況。しかも、そこで人の死を悲しむのではなく、恋人に愛されないことを悲しんでいる主人公の姿...哀れというより、不気味だ。

そんな暗い歌詞をカバーするかのようにワルツのメロディが全面的に採用されているが、このワルツのメロディはこの曲の約二ヶ月前にレコーディングされた“I'll Be Back”でも用いられようとしていたという事実が、1994年に発売された【Anthology 1】に収録されていた初期テイクによって明らかとなっている。従って、この曲は前回の失敗を踏まえてジョンとポールが作リ直した曲とも考えられるが、歌詞の主題は間違いなくジョンからもたらされたものだろう。

アルバム【Beatles For Sale】に収録されたジョンの曲は“No Reply”や“I'm A Loser”、“I Don't Want To Spoil The Party”など、この曲を含めて失恋がテーマになっている曲が多い。この事実はジョンの心が内側を向いていたことを示していて、これらの曲は後に“Help!”や“Nowhere Man”などへの伏線になっている。
| Beatles For Sale | 04:10 | comments(2) | trackbacks(1)
BABY YOU'RE A RICH MAN
マジカル・ミステリー・ツアーベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン
<Lennon-McCartney>

この曲はジョンとポールの共作で、ジョンが書いた“One Of The Beautiful People”という未完成の曲に、ポールが書いたサビの箇所をミックスして生まれた曲だ。

beautiful people」とはドラッグに彩られた当時のサイケデリック文化の影響を受け、俗世間から離れ、自由気ままに生きていこうとするヒッピーを表す言葉。ジョンはヒッピーにアイデンティティを失った自分の姿を投影させてHow does it feel to be one of the beautiful people?(ヒッピーの一人でいる気分はどうだい?)」と皮肉交じりに問いかけ、「Now that you know who you are / what do you want to be?(もう自分が誰か分かってるんだろ、一体何になりたいんだ?)」とアイデンティティの喪失した自分たちに対して圧力を加えている。この言葉は少年時代のジョンが大人となって自己を失った自分自身に向けて歌っているようにも聞こえる。

「少年時代からロックンロールに自分の身を捧げてきたのに、それで活路は見出せたのか。ドラッグでトリップして、見えないものを見ようとするのか。ギターのチューニングをして、今度はどんな曲をでっち上げるんだ。」

その辛辣な歌詞はサイケデリックに彩られた不可思議なメロディの上をただ虚しく流れていく。自己を喪失した不完全な心はついに、自分自身に対して牙を剥いたのである。考えてみれば、ジョージが当時の妻だったパティと共にヒッピー達の中心地、サンフランシスコのハイト=アシュベリー地区まで赴き、彼らを前にこの曲を歌ったという事実も興味深い。彼なりの皮肉が込められているのではないだろうか。

一方、ポールもヒッピーという存在に自分達を重ねて、動物園の見世物と成り果て、自由を失い、ただ稼いだお金を鞄に詰め込んでいるビートルズ自身の姿を痛烈に皮肉っている。この「お金を鞄に詰め込む」という歌詞、そしてサビの「Baby you're rich man too」という歌詞が「Baby you're rich fag Jew(ベイビー、君は金持ちでユダヤ人のホモ野郎)」と聞こえることから、この曲がマネージャーのブライアン・エプスタインへ向けて作られたと解釈した人もいるが、私は賛成しかねる。“And Your Bird Can Sing”のような曲を書いたことのあるジョンが書いた歌詞ならともかく、ブライアンに対してほとんど無関心だったポールが書いた歌詞にそのような意味を見出すことは難しいだろう。

ともかく、このポールが書いた歌詞の中で使われている「動物園」という発想は少年の心を持ったジョンを刺激した。ジョンは自分を道化師と考え、ビートルズをサーカスの興行集団に置き換えたわけだが、ポールのようにビートルズを動物園の見世物と考えるならなら、自分たち個人は一体何の動物なのか。この自問はジョンにかつて本で読んだ「セイウチ」という動物を連想させることになる。映画【Magical Mystery Tour】で見られる動物の着ぐるみの出発点は実はこの曲だったのである。
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| Magical Mystery Tour | 03:09 | comments(0) | trackbacks(1)


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